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院長ブログ

サリドマイド、骨髄腫治療薬として製造販売承認へ

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(読売新聞より)

 厚生労働省は18日、胎児の四肢などに深刻な障害を生んだ催眠鎮静剤サリドマイドを、血液がんの一種、多発性骨髄腫の治療薬として製造販売を承認する方針を決めた。

 年内にも国内企業による販売が再開される見通しだ。

 同日の有識者検討会で、原則として妊婦の服用を避けるため、〈1〉承認を申請した藤本製薬(大阪府松原市)が患者、医師、薬剤師を登録し、処方量や服用量を管理する〈2〉妊娠の可能性がある患者には処方前に妊娠の有無を検査する〈3〉飲み残さず、不要になったら返却する--などの必要事項を決めた。

 これらが守られていることを監視するため、厚労省や専門家のほか、患者、サリドマイド被害者の代表で構成する第三者評価委員会をつくり、違反があれば処方を中止させる。評価委の運営は国が財政支援し、薬害防止に厚労省が大きく関与する。

 実際、予後不良である多発性骨髄腫の患者さまにとって、サリドマイドは藁をもすがる薬であり、個人輸入などで負担を強いられながら、副作用、効果の管理も不十分な状態で使用しなければならない状態に光が差し込むわけです。 しかし、「サリドマイド渦」という歴史をもつ薬なだけに問題は複雑です。 
 多発性骨髄腫という疾患は免疫グロブリンをつくる形質細胞が癌化し、骨髄中で異常増殖、骨破壊を起こす、血液の癌の一種です。まず、骨破壊により、骨の痛みが激烈ですし、癌化した形質細胞ですから、異常な免疫グロブリンを多量につくるため、免疫が低下するだけでなく、血液そのものが非常に粘稠度が高まることにより(過粘稠症候群)、血管内を詰まらせていきます。骨破壊により、高カルシウム血症になるため、易疲労感・脱力感・意識障害が出てきます。骨髄は血液成分をつくるところであり、そこが癌細胞で埋め尽くされるわけですから、正常な血液成分が造られず、すなわち重症の貧血に陥っていきます。通常の抗がん剤治療では薬剤耐性が早くから出来てしまい、平均生存期間は3~4年と言われています。サリドマイドやプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(ベルケイド)が新しい治療法として注目されており、今回のような一度は重大な副作用のために日本では製造・発売が禁止になった薬にもかかわらず、再承認に至ったわけです。
 複雑な経緯のあった薬ではありますが、充分な効果があることを祈ります。

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