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院長ブログ

アレルギーマーチの進展をどのように予防するか

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  (メディカル・トリビューン記事より)

 小児のアレルギー疾患ではしばしば,中心となる症状が成長に伴って変化していく,アレルギーマーチと呼ばれる現象が認められる。一般的には,アトピー素因を有する小児の乳児期に食物アレルギーやアトピー性皮膚炎(AD)が現れ,幼児期になると喘息やアレルギー性鼻炎(AR)・結膜炎を発症することが多い。千葉市で開かれた第23回日本アレルギー学会春季臨床大会では,アレルギーマーチの進展防止策に関する関係各診療科の最新知見が報告された。

ARは喘息発症危険因子

 千葉大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学の米倉修二氏らは,ARがアトピー素因を有する小児の喘息発症の危険因子になると考えられるデータを報告した。

喘息発症小児の83%がAR先行

 近年,小児において,ARの増加と発症の低年齢化が認められ,ARがアレルギーマーチのより上流の因子として関与している可能性が指摘されている。米倉氏らは,ARと喘息との関連を明らかにする目的で,同大学小児科の協力を得て,アトピー素因を有する小児を対象に,AR・喘息発症を2年以上にわたり追跡した。アトピー素因(食物アレルギーまたはAD)を有するが,喘息はまだ発症していない小児60例(平均年齢3.2歳)を調べたところ,25例(42%)がARを合併していた。中には1~2歳のAR合併例も認められた。2年間の追跡期間中に喘息を発症した12例(20%)と非発症例48例の初診時の患者背景を比較すると,ハウスダストの特異的IgE高値,すなわちハウスダスト感作が,将来の喘息発症の危険因子になることが推察された。また,喘息発症例のアレルギー疾患既往を調べると,10例(83%)がAR先行発症例だったことから,ARが以後の喘息発症の危険因子になる可能性が示唆された。

 同氏はさらに,ARの予防策について言及。抗原特異的IgEやTh2サイトカイン上昇の抑制がAR予防に有効と考えられるデータを得ていることを明らかにした。ただし,臨床的な予防策としては現時点では,既にスギ花粉症の予防的治療法として第Ⅲ相臨床試験が進められている舌下減感作療法(SLIT)が「AR予防でも有望な治療法の1つとして期待される」と述べた。

乳児期早期スキンケアがAD重症化防止

 アレルギーマーチの発端は乳児期のADであり,その発症要因の1つとして皮膚のバリアー機能障害が注目されている。国際医療福祉大学熱海病院の池澤善郎上席副院長は,皮膚バリアー機能に黄色ブドウ球菌(S. aureus)数やインターロイキン(IL)-18値が関連すること,乳児期早期からのスキンケアはバリアー機能障害を抑制し,AD重症化を防止する可能性があることを示唆した。

角層内IL-18値が評価指標に

 池澤上席副院長らはこれまでに,皮膚バリアー機能の指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)は,生後4カ月および1歳6カ月のAD患児で有意に増加していること,1歳6カ月時のTEWLが多いAD患児は,少ないAD患児に比べて3歳時のAD有症率が有意に高いことなどを明らかにしている。さらに,AD患児の皮表定着S. aureus数は健康児より有意に多いこと,TEWLが多いほど皮表S. aureus数が多いことも明らかにしてきた。

 IL-18に関しては,皮膚掻破によりIL-18産生が亢進すること,S. aureus定着により表皮角化細胞のIL-18産生が誘導されることなどが報告されている。そこで同上席副院長らは,皮表のS. aureus数増加に伴って発症するADモデルマウスやAD患者で血清IL-18値を測定した。その結果,いずれのIL-18値もそれぞれのスキンスコアと有意の正相関を示した。また,AD患者では健康児に比べ,角層内のIL-18値が有意に高いことも分かった(図)。さらに,角層内IL-18値はAD治療により有意に低下する成績や,皮膚所見の程度を反映するTARC(thymus and activation-regulated chemokine)が角層内IL-18値と有意に正相関する成績も得られた。以上から,角層内IL-18値はADの病勢や治療効果の評価指標として有用と考えられたという。

 一方,皮膚バリアー機能障害はADの発症・増悪だけでなく,経皮感作による食物アレルギーにも関与する可能性が指摘されている。同上席副院長らは,乳児期早期から保湿剤を用いたスキンケアを行うと,TEWLが有意に抑制され,またADの重症化が抑制されるデータを得ているとした。

Th2サイトカイン阻害薬で乳児喘息予防に可能性

 獨協医科大学小児科学の吉原重美准教授は,アトピー型喘息の高リスク乳児にTh2サイトカイン阻害薬スプラタストを投与すると,ヒスタミンH1受容体拮抗薬ケトチフェンを上回るTh1/Th2比改善が得られたことから,スプラタストによる喘息予防効果の可能性を示唆した。

家族歴/既往歴ある乳児を4年追跡

 小児喘息患者は,食物アレルギーやADを経ながら,その8割が3歳までに喘息を発症すると報告されている。このようなアレルギーマーチの進展を阻止するには,乳幼児期に喘息発症リスクの高い群を的確に把握し,適切な環境整備と薬物療法を行うことが重要となる。

 吉原准教授らは,乳幼児喘息に対しては,環境整備と並行して,症状改善薬としてのβ2遮断薬,抗炎症薬の吸入ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)に加え,アレルギー進展を抑制するとされるTh2サイトカイン阻害薬を早期から使用することにより,臨床症状と気道過敏性を軽減していくことがよいのではないかと考えている(図)。今回,Th2サイトカイン阻害薬の有用性が認められる成績が得られたことを明らかにした。

 対象は,喘息家族歴があり,離乳食による食物アレルギー歴と,牛乳または卵白特異的IgE値上昇が認められる乳児60例(平均年齢約1歳)。脱落例を除く53例を,既にアレルギー進展抑制効果が認められているケトチフェンを投与する群と,わが国で開発されたTh2サイトカイン阻害薬であるスプラタストを投与する群に分け,それぞれ4年間追跡した。

 その結果,スプラタスト群はケトチフェン群に比べ,喘鳴の出現率,好酸球数が有意に低く,Th1/Th2比が有意に高かった。同准教授は「スプラタストはTh1/Th2比を改善することなどから,乳幼児喘息の予防効果を有する可能性がある」と述べた。最近は,食物アレルギーやADだけでなく,ARから喘息に移行する可能性も指摘されているが,同准教授は,スプラタストはいずれのプロセスをたどる喘息にも有効である可能性が高いとの見方を示した。

 アレルギー性の素因をもった子供が、成長の段階で、徐々にアレルギー性の疾患幅が広がっていき、最初は、アトピーだけだったのに、鼻炎がひどくなり、喘息も発症しだすというアレルギー・マーチ、、、

あの時、ちゃんと治療を継続していればと悔やまれるが、後の祭りとなるアレルギーの連鎖病は、予防できるんだということが重要です。

ただ、症状がない、一見、治ったかのように見える時期にも、根気強く服薬させること、スキンケアを続けること、環境整備に油断しないこと、これらは、経済的にも、精神的にも大変なことです。

だから、患児も、親も、ある程度痛い目を見ないと、病識に目覚めません。 

ですから、当方も、根気強く説明し、服薬、治療継続の必要性を訴えていくわけです。

 子供も大変ですが親も大変! でも、将来、頑張っておいて良かったと思える方がいいんではないでしょうか。(^-^)

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