投稿日:2008年8月25日|カテゴリ:院長ブログ
(HealthDay News より)

   酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期にわたり使用すると、骨粗鬆症による骨折リスクが増大することがカナダの研究で明らかにされ、カナダ医師会誌「Canadian Medical Association Journal」8月12日号に掲載された。この研究は、PPI使用者に骨折リスク増大がみられることを示した大規模研究としては3件目になる。

 米ニューヨークプレスビテリアン病院/ワイルコーネルメディカルセンターNew York Presbyterian Weill Cornell Medical CenterのFelice Schnoll-Sussman博士は「胃腸病学専門医や内科医は、PPIの使用について無頓着になってきている」と述べ、これを機にすべての患者についてPPIの使用を続ける必要があるか、用量や頻度は適切かなどを見直す必要があるとしている。PPIを中止できない患者については、骨粗鬆症治療薬を追加するという選択もあると別の専門家は述べる。PPIを使用する患者が飲酒や喫煙、プレドニゾンのような薬剤を使用すると骨によくないことも知っておく必要があるという。

 PPIは消化性潰瘍、胃食道逆流性疾患(GERD)などに処方される強力な酸分泌抑制薬で、商品名はAciphex(ラベプラゾール、商品名パリエット)、Nexium(エソメプラゾール、日本国内未承認)、Prevacid(ランソプラゾール、商品名タケプロン)、Prilosec(オメプラゾール、商品名オメプラゾンほか)、Protonix(パントプラゾール、日本国内未承認)など。これらの薬剤は期間を定めずに使用されることも多い。塩酸の分泌を阻害する作用があり、小腸でのカルシウム吸収に影響を及ぼす可能性がある。長期の使用により骨折リスクが増大する機序は明らかにされていないが、酸抑制作用により骨からのミネラル損失が加速される可能性が高いと考えられている。

 カナダ、マニトバ大学(ウィニペグ)による今回の研究では、50歳以上で骨粗鬆症関連の股関節部、椎骨または手関節の骨折経験のある患者1万5,792人のデータを検討し、約5万人の対照群と比較した。その結果、7年以上PPIを使用していた患者では骨折リスクが2倍になることが判明。5年以上PPIを使用すると股関節部骨折リスクが62%増大し、7年以上では4倍以上になることもわかった。この最新の研究によれば、PPIを安全に使用できる期間は7年と他の研究よりも長く、消化性潰瘍が改善するには十分な期間だと専門家は述べている。無期限にPPIを使用する必要のある患者もいるが、食事や生活習慣で改善できる例もあるという。PPIさえ服用すれば何を食べてもよいと考えてしまう患者もいる点をSchnoll-Sussman氏は指摘している。





 市販薬にあるガスター10なる薬は、H2ブロッカーと呼ばれる薬で、PPIが出るまでは胃潰瘍の治療薬として非常によく使われてきましたが、、、PPIが出現してからの胃潰瘍治療は、劇的な効果をあげました! 医者の管理も、患者さまのコンプライアンスも非常に良くなったと言えるでしょう。やはり、安易に使用されるようになったことに、いつかはこういった物言いが入ることは分かり切っていたことです! 長期に漫然としようするのではなく、徐々に減量できるなら減量し、H2ブロッカーに変更出来そうなら変えていく。また、定期的に胃カメラで、粘膜の変化を観察、ピロリ菌の関与もハッキリさせていくことが肝要です。 どのような薬も漫然としようするのではなく、調節していくには、やはり定期的な検査も必要ですが、患者力としての知識が不可欠で、納得いくまで医師に説明を求めることも必要なことだと思います! 僕自身の説明は、一方的に喋りまくってしまう傾向にあることは、少し反省しておりますが、説明に理解しがたいことがあれば、やはり質問してほしいと思っております! とっさに答えられないような質問であれば、きちんと調べてお答えすることも出来ますので、皆様の患者力向上を応援したいと考えております!ニコニコ

4 Responses to “プロトンポンプ阻害薬の長期使用が骨折リスクを高める”

  1. せおいなげ より:

     まいどです。

     本日も治療ありがとうございます。

     さて、今日の先生のブログは、てっきり「DEBIO 025」の話題かと思っていました。C型肝炎に対して、免疫抑制剤シクロスポリンに似た薬剤で、インターフェロンと組み合わせると高い効果を得ることができるらしいです。(8/25朝日新聞 朝刊より)またおしえてくださいね。

     ところで、ガスターといえば、前にかかっていた耳鼻科で抗生剤を処方されるときに胃があれるからとよく出されました。「PPI」については、調べてみると様々な見解があり、人によってさまざまです。

     先生のおっしゃる通り、患者の信頼、あるいは、治療しようとする努力は、医者と一体になれる(治療というひとつの目的に一緒に向かう)一つの要素と思っています。薬も、医者が、自身の理論と経験則・知識から自信を持って処方するものと思っていますので、質問は当たり前だし、まずは患者が今何をどうしているのかを理解しないと治療の意味がないと思います。

     今までの、アレルギーに治療に対して、治りませんので薬を飲んでください・漢方で体質を改善しましょうという方針の医者が多い中、先生の「コントロールしましょう」という方針は斬新でした。実際、年に何回かはひどい状態になっていたので、前にもお話ししましたが、その時期にひどい状態になるかどうかが今回のキモですね。これからもよろしくお願いしますね。

     ところで、いつ飲みましょうか?

     ではでは

     

  2. yoshioka より:

    せおいなげさん>

     さすがに、よく勉強されていますね~

    「DEBIO 025」の話題が出てくるところがビックリです!

    本来、専門分野から離れているため、他院との棲み分けを意識し、肝臓分野での話題は避けて通ってまいりましたが、、、免疫抑制作用のないサイクロスポリンA誘導体、すなわちCsA誘導体(DEBIO-025)がインターフェロンとの併用で、マウス実験での優れた成績を報告されたことは、CsAの免疫抑制作用に加えて、腎障害や高血圧によるサイクロスポリン脳症を起こすといった副作用を示さないのHCV治療薬としての可能性が期待できる、、、という話題でしたね!

     話は戻りますが、コントロールという言葉は、ニーズにこたえるという発想からの考えです! 野球選手、柔道の選手などスポーツをする方、趣味の山歩きをする方に、痛みがあるから安静にしていなさい、趣味をあきらめなさいではニーズにこたえてることにはなりませんものね!

     でも、喫煙する喘息患者さまに「先生、おいしくタバコが吸えるように、治してくれ」と言われた時は、さすがに悲しくなりますが、、、これもニーズと割り切らなければならない忍耐力も、医療経験の中で徐々に付いてきたかもしれませぬ!

  3. せおいなげ より:

     私の職場の先輩で喘息があり喫煙していましたが、禁煙に成功しました。それは、一度、呼吸困難になり救急車で搬送され、本人いわく「死にかけた!」ということでした。

     実は、私も喫煙者でした。一日2箱は吸っていました。しかしスパッとやめました。なぜだかわからないですが、子どもに悪い影響があるかな?というそれだけの理由でした。

     タバコがおいしく吸えるように喘息を治療する・・・先生、頑張ってくださいね。(笑)

  4. yoshioka より:

    せおいなげさん>

     おいしく酒をたしなむことが出来るよう、治してくれと言われると、まだ気合いも入るんですけどね!(笑)

     せおいなげさんのようにいつの間にか禁煙出来たっていうのが、最も安上がりで、再燃しないパターンなんですが、、、今は、チャンピックスという優れものの経口禁煙治療薬がありますので、是非、職場の喫煙者に宣伝お願いします~~~~_~;

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