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院長ブログ

ピロリ菌 胃がんの「主犯」、悪性度強く

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(毎日新聞より)

 日本人に多い胃がん。その主犯がヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)だということが研究でほぼ分かってきた。ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムも解明され、日本人の胃にいるピロリ菌は欧米人に比べて、胃がんを引き起こす力が強いことも明らかになってきた。

 ◇乳酸菌に感染予防効果
 ■欧米とは異なる型

 日本のがんによる死亡者は約32万人(06年)。そのうち約5万人が胃がんで死亡している。人口10万人あたりの胃がん発生率は約60人だが、欧米では約5~6人と日本の10分の1程度。中国など東南アジアの発生率は日本と欧米の中間くらいだ。

 なぜ、日本で胃がんが多いのか。ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムを解明し、昨年、科学誌「ネイチャー」に発表した畠山昌則・北海道大学教授(分子腫瘍学)は「日本人の胃にいるピロリ菌は、欧米とは型がやや異なり、悪性度が強い」と話す。

 ■胃の粘膜で浮遊

 ピロリ菌はらせん状の細菌で、胃の粘膜上の粘液の中でふわふわ浮いて生きている。

 特徴的なのは、体の表面に4型分泌装置というトゲトゲの注射針を持っていることだ。このトゲトゲの針を胃の粘膜の上皮細胞に刺し込み、CagA(キャグエー)というたんぱく質を注入する。胃の細胞に侵入したCagAは「PAR1」と「SHP-2」という酵素と結合する。すると、きれいに並んでいた上皮細胞がばらばらになる。これがピロリ菌が胃炎や胃潰瘍(かいよう)を引き起こすメカニズムだ。ばらばらになった上皮細胞はがん化しやすいことも分かってきた。

 ■小腸や血液でも

 一方、遺伝子組み換え技術でCagAたんぱく質を全身の細胞に作らせるようにした組み換えマウスの実験では、CagAと「SHP-2」との結合によって、胃ばかりでなく小腸や血液にもがんが起きることが畠山教授らの研究で分かった。つまり、ピロリ菌はがんを引き起こす力を持っているのだ。

 畠山教授によると、同じピロリ菌でも、日本人のピロリ菌は欧米人のピロリ菌に比べて、「SHP-2」との結合力が強いため、がんを起こす力がより強いという。

 ピロリ菌と胃がんの関係については8年前、国立国際医療センターの上村直実氏らが医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に興味深い研究結果を発表している。ピロリ菌に感染した1246人と感染していない280人を8年間追跡した結果、感染者では約3%に胃がんが発生したのに対し、非感染者ではゼロだった。

 ■感染症の一種

 こうした過去の研究報告や自らの実験から、畠山教授は「日本人の胃がんの真の原因はピロリ菌だという認識をもつ必要がある。胃がんは、細菌が引き起こす感染症の一種と考えてもよい」と述べる。

 遺伝性のスキルス胃がんなど一部の胃がんを除き、日本人の胃がんはほぼすべてがピロリ菌によって引き起こされるというのが畠山教授の考えだ。

 現在、日本の約6000万人がピロリ菌に感染している。50歳以上では約7割が感染者だ。

 ピロリ菌をもっていると、1000人のうち、年間1~3人が胃がんになるが、除菌すると発生率は約10分の1になる。ピロリ菌を減らす方法としては、抗生物質の使用とプロバイオティクス(善玉の腸内細菌を増やして細菌バランスを整える微生物)の活用などがある。

 ■LG21で3割除菌

 プロバイオティクスの効果を調べるため、古賀泰裕・東海大学医学部教授と桑原健太郎・日本医科大学小児科講師らは06~07年、タイの子どもたち約420人を対象に乳酸菌の一種のLG21を加えた乳製品を食べてもらう試験を行った。

 タイを選んだのは、3~6歳の子どもたちのピロリ菌感染率が約3割と高いからだ。

 感染していた子ども約130人にLG21入り乳製品を1年間、食べてもらった結果、約3割の子どもでピロリ菌がなくなった。

 一方、感染していなかった約290人は、LG21入り乳製品を食べたグループとプラセボ(LG21を含まない乳製品)を食べたグループに分けて追跡調査した結果、プラセボのグループは1年後に約8%が感染したのに対し、LG21入り乳製品のグループの感染率は約4%と、LG21が感染予防にも効果があると考えられることが分かった。

 ■10~20代で十数%

 一般に子どものピロリ菌感染は5歳ごろまでに起きる。親が口でかんだものを離乳食として与えるときに感染しやすいからだ。日本での感染率は若い世代で低く、10~20代の感染率は十数%という。若い人ほど除菌による胃がん防止効果は高い。

 抗生物質を使った除菌治療は病院で行うが、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の人以外は健康保険が適用されないため、費用は約2万円かかる。畠山教授は「胃がんになってから高額な費用を負担するよりは、事前に除菌した方が費用対効果は高い」と除菌を勧める。

 ただ、抗生物質でも除菌の成功率は約7~8割と100%ではない。古賀教授は「若い時期は、抗生物質かプロバイオティクスの併用、乳幼児期はプロバイオティクスで対応するのがよいのでは」と話している。

 少し長い内容でしたが、分かりやすいピロリ菌についての紹介であったのではないでしょうか? 最近、話題のプロバイオティクスも日頃から取り入れるのは良さそうですよね~ラッキー
 とにもかくにも、自分がピロリ菌に感染していないか、胃カメラやその他の検査でチェックしていただきたいと考えます。

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