投稿日:2015年3月3日|カテゴリ:院長ブログ

 

睡眠トラブルの頻度と線維筋痛症発症に強い関連

 

 

 ノルウェー科学技術大学のPaul Mork氏とTom Nilsen氏は,20歳以上のノルウェー人女性を対象とした一般人口ベース大規模前向き研究HUNTスタディの分析の結果,睡眠トラブルの頻度が10年後の線維筋痛症(FM)の発症リスクに強い関連を示したと報告。特に睡眠トラブルが「しばしば」か「いつも」と答えた中高年女性では10年後のFM発症リスクが5倍超に上っていた。

 

発症における睡眠の寄与割合は65%

 

 成人の3~5%が発症するFMは,これまでの報告によると中年期に発症が多く,女性が最大90%を占めるとされる。FMの合併症状として夜間覚醒や不眠症,疲労感などが知られているが,睡眠のトラブルがFMにつながるかどうかについては分かっていなかった。

 

 Mork氏とNilsen氏は,HUNTスタディから1984~86年に筋骨格痛と運動障害のない1万2,350人を選び出し,1995~97年のFMおよび3カ月以上続く筋骨格痛の有無を調べた。

 

 睡眠については,過去1カ月の間に入眠の問題または睡眠障害があったかどうかとその頻度をベースラインで調査。睡眠の質は年齢とともに悪化することから,解析はベースラインの年齢が20~44歳と45歳以上に分けて行い,さらに年齢(20~29歳,30~39歳,…,70歳以上),喫煙,教育,精神状態,運動の頻度,BMIで調整した。

 

 追跡時,327人がFMを発症しており,10年間の発症率は2.6%。ベースラインの年齢が20~44歳では3.2%,45歳以上では1.7%であった。

 

 分析の結果,睡眠のトラブルとFM発症の間には強い関連が認められた。リスクの強さは,睡眠トラブルの頻度に比例し,全女性において睡眠トラブルがない場合と比べた調整後の相対リスクは,睡眠トラブルが「時々」で1.98(95%CI 1.58~2.49),「しばしば」か「いつも」で3.43(同2.26~5.19)だった。

 

 年齢と睡眠トラブルの間に交互作用は認められなかったが,年齢群別に睡眠トラブルが「しばしば」か「いつも」の場合,ない場合と比べた相対リスクは,20~44歳は2.98(同1.76~5.05),45歳以上は5.41(同2.65~11.05)であった。

 

 なお,睡眠トラブルがある(「時々」,「しばしば」,「いつも」)8,401人を,トラブルがない3,949人と比べた相対リスクは2.10(同1.69~2.62)で,FM発症における睡眠の寄与割合は65%と,全体の3分の2を占める計算となった。

 

 両氏によると,質の悪い睡眠がFMを引き起こすメカニズムは明らかではないが,sleep deprivationや除波睡眠の中断が痛覚過敏を誘発するかもしれない,sleep deprivationが炎症マーカーを上昇させるといった研究結果があり,睡眠トラブルが長期化することによって慢性的で広範囲の痛みが発生したり,悪化したりする可能性はあるという。

 

 両氏は,睡眠トラブルの早期発見や早期治療がFM発症のリスクを減らすかどうかをさらに研究すべきと結んでいる。

 

 

 

 

 線維筋痛症(FM)を、疾患と認めない先生方も多いですが、患者さんの苦しみは、深刻です。
FMまでは行かなくとも、肩こり、片頭痛、腰痛など、筋緊張が引き起こす多くの病態で、睡眠障害を、臨床の場では確認できます。 
 十分な筋弛緩が得られた良質の睡眠を取れた時、起床時の爽快感を感じる方は多いと思います。 また、途中覚醒、不眠が慢性的に継続した場合、脳のリラックスは著しく阻害され、筋緊張は高まることは想像に難くなく、多くの自律神経失調症状が出現することは、日常の臨床で、非常に頻繁に出会う事です。
上記研究結果からも、睡眠の質をおろそかにすべきでないということを、啓蒙していきたいと考えています。

コメントする