投稿日:2010年2月21日|カテゴリ:院長ブログ
 (毎日新聞より)

 「『任意』のワクチンなので、まさか死ぬような病気になるとは思っていなかった」。「インフルエンザ菌b型」(ヒブ)による細菌性髄膜炎で昨年12月に亡くなった山口県周南市の齋藤伊吹(いぶき)ちゃん(1歳9カ月)の両親が心情を語った。ヒブワクチンは08年12月に任意接種が始まったが、伊吹ちゃんは未接種。国は公費で全員に接種する定期接種化の検討を始めたばかりで、家族らは「一刻も早い定期接種化を」と訴える。

 伊吹ちゃんは昨年11月23日夜に発熱。当初は新型インフルエンザが疑われたが、24日に容体が悪化して脳死状態になり、26日にヒブへの感染が判明。12月1日に母親(36)の腕の中で亡くなった。

 外で遊ぶのが大好きな男の子。童謡「汽車ぽっぽ」が好きで、メロディーに合わせて片言で歌った。父親の齋藤学さん(36)は「今もその歌を聞くことができない」と語り、母親は「暖かくなったら外にいっぱい連れていこうと思っていたのに」と声を詰まらせた。

 ヒブへの感染が分かった時、母親は「かかりつけ医のところに、そんなことが書かれた紙が張ってあったかもしれない」とぼんやりと思い出した。だが、「『任意』ということで、危険度も『定期』よりワンランク落としているのかと思っていた」と振り返る。

 伊吹ちゃんを診察した周南市の「たにむら小児科」の谷村聡院長も「任意接種である限り、病気の怖さとワクチンの必要性を説明するには限界がある」と悔しさをにじませる。齋藤さんは「周囲には『インフルエンザで亡くなった』と誤解している方もいる。伊吹はヒブの怖さを知らせ、『ワクチンを定期接種にしてほしい』とのメッセージを残してくれたと思う。一人でも多くの子どもの命を助けてほしい」と訴えた。

 厚生労働省は厚生科学審議会の部会で、予防接種法改正も視野に定期接種化を含め議論する。だが、新型インフルエンザへの対応が先行し、ヒブの具体的な議論は来年度以降にずれ込む見通しだ。

 ヒブに詳しい国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「国が効果や安全性を考慮し、ワクチンを認可しているのに、任意で勝手に接種しなさいという方針は理論的に矛盾している」と指摘している。

 ◇ことば ヒブワクチン

 生後2カ月以上の乳幼児に接種し、菌への抵抗力が生じる5歳以上は必要ないとされる。インフルエンザ菌b型(ヒブ)はインフルエンザ患者から見つかったため、その名が付いたが、インフルエンザとは無関係。日本では年間約600人の乳幼児が発症し、死亡率約5%。約20%に重い後遺症が残るとされる。世界保健機関(WHO)が98年、乳児への定期接種を勧告し、08年末時点で133カ国が実施。日本は任意接種のため、多くの自治体では全額自己負担で1回7000~8000円かかる。通常、4回接種する。







 ヒブは、子どもの鼻やのどにいることがありますが、そのままでは病気になりません。ヒブが血液や肺の中に侵入すると、髄膜炎や敗血症・急性喉頭蓋炎などの深刻な病気をひき起こします。年齢とともにヒブに対する免疫がつくようになり、通常5歳以上の幼児はヒブによる病気にはかかりません。

 ヒブワクチンの使用が認められていなかった日本では、年間600人ものこどもさんがヒブによる髄膜炎にかかっていたと推定されています。その約半数は生後6ヶ月から1歳までの乳児で、かかると5%の子供が亡くなり、20%前後に後遺症が残ります。
 
 ヒブワクチンは、生後2ヶ月もしくは3ヶ月以上 5歳以下の乳幼児全員にできるだけ早くに受けていただきたいわけですが、現実には供給が追いつかず、費用も4回で3~4万円と非常に高価です。 自治体による助成に大いに期待するところです。

6 Responses to “<ヒブワクチン>「全員に」未接種で子亡くした両親訴え”

  1. 薫風 より:

    この記事は、親としては辛い記事ですね・・・

    うちの子は、もう接種時期を越えていますが、今までかからなかっただけで、いつどんな病気にかかるかわかりませんもんね。

    予防接種にかかる費用が高いと経済的には厳しいというのが、正直な気持ちですが、子供の命に変えられるものなどありませんから、積極的に必要な予防はして行きたいですね。

    伊吹ちゃん、かわいい盛りで・・・ご両親のお気持ちを考えると・・・

    言葉が見付かりません。

  2. yoshioka より:

    薫風さん>

     おはようございます。

    このワクチンが定期接種であれば、避けられたかもしれない事例です。 諸外国が定期接種を実施しているなか、日本はいまだに任意接種であるところは、国民性にもよるのだと思います。 ワクチンによるリスクを考えても、いつまでも任意接種にしておくべきではないかと思いますが、、、ご存知のとおり、この国には予算がありません。 問題は根深いところにあるということですね~

  3. せおいなげ より:

    まったく他人ごとではありませぬ。

    たまたま、かかりませんでした。

    なににせよ、我が国の危険危機管理は、責任の所在が気になる人が多いらしく思い切った政策がなされていません。

    人の命にかかわることなので無理もないのですが・・・

    当方の事業所も、インフルエンザ等に対応する危険危機管理部門がチームとして設置されるそうですが、いままでの経緯から、ぜんぜん信用できませんわ。

  4. yoshioka より:

    せおいなげさん>

     まさに、危機管理なんですよね。

    何が正しく、何が悪いのか、、、良かれと思って、取った行動に、モンスターな突っ込みを受けることもあるので、厚労省のしり込み、自治体の動きの緩慢は分からぬでもありませんが、、、

    自分の身に起きたらとリアルに想像していただきたいものですね~

  5. うさぎ より:

    4歳10ヶ月の息子をヒブに感染よる、急性喉頭蓋炎で脳死状態にさせてしまいました。
    明け方から喉を痛がる、発熱、かかりつけの小児科では、風邪だろう、インフル陰性。とのことで帰される、数時間後、窒息、心肺停止。
    もしそこで、耳鼻咽頭科を受診していれば、かわっていた。
    急性喉頭蓋炎は小児科医ではわからない。
    小児科医は、ヒブを診断できません。急性喉頭蓋炎を風邪と診断します。
    どの小児科医もこう言うでしょう、大学病院時代にみた事があると、初診はまず診ることがない。経験がない。じゃあ、どうして小児科医になったの?小さな命を救いたいからじゃないんですか?わからないなら、すぐに大きな病院まわして検査要請して下さい。親は子供が治って元気な姿をみたい。
    風邪だろうと言わないで。かかりつけ医にしてたのに、いつもと様子がちがうって気が付いた先生でも、見落とします。

    息子もヒブは未接種でした。五歳目前で、ヒブ感染。そして、ヒブワクチン一時中止。ワクチンの大切さもあります、防ごうとして落としてまった命。どちらも大切な大切なかわいい我が子の命です。

  6. yoshioka より:

    うさぎさん>

     とても辛い時間を日々過ごされていることと思います。

    今回のHibワクチン一時中止は非常に残念です。 命を守るために接種するワクチンで命を落とすということは、あってはならないことですが、定期接種という分母が多くなれば、何かしらの副反応も増えてくるのは仕方がない、、、しかし、ワクチンが多くの命を守っていることは間違いのない事実です。
     今回の件で、注意喚起で留めてほしかったのですが、一旦中止となれば、そう簡単には再開はされないことは想像に難くない。
     ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)は、言わば常在菌のようなもの、普段は悪さするほどのものではないので、5歳以上の方には自然に免疫が付いてくる、、、ウイルス感染(風邪)などをきっかけに、血管内に入ったりすると、いわゆる髄膜炎や、急性喉頭蓋炎を引き起こすのです。 だからと言って、風邪の度に抗生剤を処方していたら、耐性菌ばかりになってしまいます。だからのワクチン接種なのです。
     急性喉頭蓋炎は、まさに急性です。 さっきまで元気にしていたかと思ったら、急に呼吸が止まり、窒息する、、、予想することは難しく、菌が居るからと言って発症するわけではないから、検査をしても仕方がない、、、こういうことがあるんだという知識を持っていることが重要で、説明されても記憶にとどめている方がどれほどいるか、、、何事もないうちは、自分の家族には関係ない事だと思ってしまうのが人間です。 

     ああしていれば、こうしていたらと考えると後悔の連続で自分を責めてばかりになるでしょう。 どうか、ご自分を責めることはもうやめて、自身を赦してあげてほしいと思います。

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