午後からは、ノボテル甲子園で開かれた、阪神喘息シンポジウムに参加してきました。
このところ、喘息治療薬である吸入ステロイドで、新薬が立て続けに出ましたが、その中で、ステロイドとβ-刺激剤(気管支拡張剤)の合剤、シムビコートの宣伝も兼ねた、講演会でした。
西宮近辺の内科を中心とした先生方が大勢参加されていました。

実際、吸入ステロイドによる喘息、咳喘息治療の普及で、非常にコントロールが簡単になりましたから、あとは、そのなかで、選択肢があるかどうかということになります。
合剤タイプでは「アドエア」のみでしたから、独壇場だったわけですが、今回の「シムビコート」は、ほぼ完成系に近いのではないかと思います。


デバイスに若干の変更を期待したいところですが、それほど問題点でもないようです。
アドエアに慣れている方には馴染みにくいかもしれませんが、パルミコートに慣れている人ではこちらかもしれませんね。
先生、おはようございます。
喘息薬、‘アドエア’‘パルミコート’に加えこの度、
“シムビコート”の登場と理解致したところです。
喘息の苦しさは多からずですが承知しているつもりです。
出来るなら「喘息の気(け)がある(素人表現ですみません)」と判った時点で、
発作発症に至る前に鎮めたいものです。
先生が御紹介の従来薬二薬そしてこの度新登場の新薬を含め
現行最も有効性ある治療法はどの程度でしょうか。
治療期間また将来性などお願いします。
坊っちゃんさん>
おはようございます。
どんな疾患も、軽症のうちにコントロールすべきであると考えます。
吸入ステロイドが出てきてから、気道過敏性亢進の治療は格段に容易となりました。 また、喘息死も激減したという点で、その功労は賞賛に値します。 しかし完璧ではないところを試行錯誤された結果、β2-刺激薬との合剤が登場し、さらに飛躍的な効果をあげ、ここ数年でドンドン普及していきました。 吸入ステロイドは、大きく分ければドライパウダーとエアゾールのタイプになります。 吸引力が普通にあればドライパウダー、力の弱い人にはエアゾールといった感じで選択、フルチカゾンという強力なステロイドをふくんだフルタイド、アドエアは、やや粒子が大きく、抹消気道まで到達が悪いといわれますが、それでも効果はしっかりとあります。ただし、強力な抗炎症作用ゆえに、声のかすれといった副反応もあります。パルミコート、今回のシムビコートもドライパウダー系ですが、非常に粒子が細かく、抹消気道までの到達率が高いため、中枢から抹消まで広範囲に効果を発揮し、またシムビコートに含まれるβ2のホルモテロールは、非常に効果発現が早いため、自覚症状の改善が著明であると思われます。 アズマネックスというドライパウダーも発売されましたが、これも粒子が細かく、抗炎症作用も非常に強いため、選択肢の一つに入ってくるでしょう。
いずれにしましても、経口薬、注射薬と違い、全身性の作用はほとんど言っていいほど無く、気道系にだけ効果を発揮しますから安全性も高いわけです。あとはデバイスの使いやすさで好みが分かれてくるのではないでしょうか。
治療期間は、感冒などの後、一時的に気道の過敏性が亢進している場合を除くと、やはり長期のコントロールを要するので、自分にあった薬剤を選択していかれるのが重要です。
はじめまして。
小児喘息が治って成人喘息になった26歳です。
先生のご意見で質問なのですが、私は以前粒子径の小さくて末梢まで到達すると以前の主治医の先生に指示されキュバールを処方してもらっていました。途中からアドエアになりました。
いち患者の主観ですが、粒子径なんてそこまで変わらないのでは?キュバールよりどれくらい粒子径が大きいか分かりませんが、アドエアを使って本当によかったと思います。
パルミコートも使ったことありますが、使い方が難しくて往生しました。
また、たくさん質問ですみませんが、シムビコートはステロイドを多く吸入するとベータ2刺激薬を多く摂取してしまって副作用も多くなるんじゃないのかな?って思って不安です。
喘息と長く付き合ってると吸入ステロイドより、ベータ2刺激薬の過剰摂取の方が気になります。
たくさんの質問すみませんでした。
健太郎さん>
コメントありがとうございます。 どちらでもいいんだと思いますよ~
アドエアで慣れている方は、特にそれで副作用が無いのであれば、それでよいのではないでしょうか?!
アドエアでは、声のかすれがきつい、、、アドエアのサルメテロールでは動悸がするという方も居られますから、そういう方の選択肢が増えたことはいいことだと思っております。
吸入ステロイドと、吸入β2刺激薬の合剤は、相互に作用し、相乗効果を発現するという点では素晴らしい薬です。
1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示すという点で、あなたの自己体験から実証済みですよね。
シムビコートに含まれるホルモテロールには即効性と遅効性の効果があります。この点がアドエアとの大きな違いになります。ホルモテロールは、吸入1分後から発作治療薬である短時間作用性吸入β2刺激薬と同様の速やかな効果発現を示すという点で、PEFが速やかの改善されれば、使用回数も頻回になりにくく、かえって使用回数は減るかもしれません。 アドエアの容量を500ですべきところを、慎重な先生にアドエア100を処方され、結局メプチンやサルタノールなどの短時間作用型吸入β2刺激薬を多量に使用してしまう方をよく見かけます。
ですから、選択肢の幅として、自分に合った方を選択すればいいことですし、そういう情報を発信することが当方の職務であると考えます。
先生ありがとうございます。
たくさんの質問にお答え頂きありがとうございました。
先生のご見解のように私たち患者の主観でいけたらいいのですが、とことん喘息とかかわってないと喘息って何?どう治療したらいいの?って思います。
私もふくめて先生主導ですので私からこの薬を出してほしいとは言えないのも現実です。
また質問なんですが、シンビコートとアドエアで即効性が違うと先生に教えて頂きましたが、いち患者の意見ですが、発作止めじゃないなら1分か5分か10分でも1時間でも変わりないんじゃないのかな・・・?って思うのですが。
こういった形でしかお医者さんに質問することしかできなくて質問?ばかりしてすみません。主治医が先生のような先生でしたらよかったです。
健太郎さん>
こんばんわ。
シンビコートは従来の吸入ステロイド薬やアドエアで使用されているように、一定量を定期的に吸入する方法、 固定用量投与(Fixed Maintenance Dosing Therapy :FD)や、 喘息コントロール状態に合わせて薬剤の用量を調節しながら投与する方法で、自覚症状や肺機能の悪化、改善にあわせて吸入量(吸入数)を増減する、用量調節投与(Adjustable maintenance dosing Therapy :AMD)、つまりシムビコートを2吸入×2回/日使用していた場合、喘息状態が良好であれば1吸入×2回/日としたり、喘息状態が不良であれは4吸入×2回/日とし、喘息状態が良好となれば2吸入×2回/日あるいは1吸入×2回/日と状況に応じて用量を調節して投与する方法以外に、 維持および発作治療療法(Symbicort Maintenance and Reliever Therapy :SMART)という考え方が、外国では取り入れられており、いずれは日本でも浸透していくであろうと思われます。
SMARTは、長期管理における定期吸入に加えて症状に応じて要時吸入する維持および発作治療療法で、定期吸入に加えて発作時に吸入する方法です。すなわち、定期的には2吸入×2回/日使用し、発作があれば1~2吸入を要時吸入します。(現在のところ、わが国でシンビコートは急性の発作に対しては使用しないことになっていますので、この使用方法は認められていないことになりますが、、、)
シンビコートでこのような投与方法が可能なのは、吸入後1分で効果発現が得られるからであり、1剤で用量の調節が出来る所以です。